「新電力の燃料調整費が高い理由は?」
「燃料調整費をおさえる方法はあるの?」
適切な新電力会社や料金プランを選択することで、電気代を節約できるケースがあります。
しかし、新電力は燃料調整費の影響を受ける場合もあり、かえって電気代が高くなってしまうことも考えられます。
そこで本記事では、新電力の燃料調整費が高い理由や家計防衛策などを網羅的に解説しました。
本記事を読むことで、燃料調整費の仕組みを理解し、家計防衛策を実行して電気代をおさえられるようになります。
燃料費調整制度とは? ─ 電気料金に上乗せされる仕組み
「燃料費調整制度」とは、火力発電における原油やLNGなどの燃料コストの上昇や下落を電気料金に反映させるための制度です。
電力会社は、発電コストの大部分を占める燃料を海外から輸入しており、価格は為替レートや国際情勢によって常に変動しています。
この価格変動リスクを電力会社だけが負うのではなく、消費者にも一部負担してもらうことで、電力会社の経営安定化と電気の安定供給を図るのが目的です。
基本料金や電力量料金に加えて、燃料費調整単価が加算もしくは減算される形で請求額が決定します。
普段はあまり意識していないかもしれないけど、燃料の仕入れコストが高いときは、通常よりも高額な電気料金になっていることがあるよ。
なぜ“新電力”の燃料調整費が高く感じるのか

新電力会社の燃料調整費が高く感じられる理由は、おもに仕入れ構造の違いにあります。
大手電力会社は自社発電設備を多く保有しているのに対し、新電力の多くは日本卸電力取引所(JEPX)からの電力購入に依存しています。
燃料価格高騰時には卸市場価格も上昇し、その負担が直接顧客に転嫁されやすいのが原因です。
また、新電力では燃料費調整単価に上限が設けられていないケースが多く、燃料価格高騰の影響を受けます。
上限のない新電力のプランでは燃料費調整額が青天井で上昇し、結果的に大手電力の規制料金プランよりも高額となるケースが発生します。
新電力は安いといわれることも多いけど、必ずしも電気代が節約できるわけではないんだね。
燃料調整単価の推移

燃料調整単価の推移を見ていきましょう。
例として、東京電力の低圧の燃料費調整単価1年分を表にしました。
適用年 | 適用月 | 燃料費調整単価(税込) |
2025年 | 6月 | -6.39 |
5月 | -6.19 | |
4月 | -7.38 | |
3月 | -8.83 | |
2月 | -9.00 | |
1月 | -6.51 | |
2024年 | 12月 | -6.33 |
11月 | -8.67 | |
10月 | -10.19 | |
9月 | -10.37 | |
8月 | -6.31 | |
7月 | -6.09 |
参考:燃料費調整単価等一覧|燃料費調整制度(個人)2|東京電力エナジーパートナー株式会社(2025年5月8日時点)
表を見ると、燃料調整単価が毎月変動していることが分かります。
近年では、2022年から2023年にかけて世界的にエネルギー価格が高騰したよ。当時の燃料費調整単価は非常に高くなり「新電力は高い」という話を聞くことも多かったね。
家計を守る5つの対策

変動する燃料調整費から家計を守るためには、日々の意識と具体的な対策が不可欠です。
ここからは、消費者が実行可能な家計防衛策を5つ解説していきます。
- 燃料調整費の上限付きプランへ乗り換える
- 時間帯別単価プランで電力単価の安い時間に電力を使用する
- 太陽光と蓄電池を併用して自家消費比率を上げる
- 国や自治体による節電プログラムや補助金を活用する
- 省エネ家電の活用と待機電力のカットを試みる
燃料調整費の上限付きプランへ乗り換える
燃料調整費の急騰リスクを直接的に回避する有効な手段のひとつが、燃料費調整単価に上限が設定されている料金プランへ乗り換えることです。
先述したとおり、従量電灯などの大手電力会社の規制料金プランには上限が設けられています。
燃料価格が高騰する局面では、この上限の存在が大きな安心材料となります。
ただし、規制料金プランは新規申し込みが停止されている場合や、基本料金や電力量料金単価そのものが割高である可能性もあるため、総合的な比較・検討が必要です。
過去の使用量データをもとに総支払額のシミュレーションをおこない、どちらがお得かを計算してみよう!新電力の乗り換え時は、違約金が発生することがあるよ。違約金を支払いたくない人は、こちらの記事を参考にしてみてね!

時間帯別単価プランで電力単価の安い時間に電力を使用する
燃料調整費そのものを消費者がコントロールすることはむずかしいですが、電気の使い方の調整は可能です。
具体的な方法のひとつが、時間帯別料金プランを活用し、電気使用のピークを電力単価の安い時間帯へシフトすることです。
たとえば、洗濯機やエアコンなどの大型家電の使用を安い時間帯にシフトすることで、月の電気代を削減できる可能性が高まります。
燃料調整費は電気使用量に比例して増えます。
電気の総使用量を減らす意識とともに、単価の安い時間帯を賢く利用してみましょう。
生活スタイルに合わない料金プランを選択してしまうと、逆効果になる可能性もあるよ。時間帯別単価プランに乗り換える際は、電力単価の安い時間帯に電気を使えることを確認しておこうね!
太陽光と蓄電池を併用して自家消費比率を上げる
長期的な視点での対策となりますが、太陽光発電システムと家庭用蓄電池を導入し、電力会社から購入する電力量そのものを減らすことは非常に効果的です。
日中に太陽光で発電した電気を自家消費し、あまりを蓄電池に貯めて夜間や天候の悪い日に使用することで、購入電力量を大幅に削減できます。
購入電力量を減らせると、その分燃料費調整額の負担も軽減されます。
この対策は初期投資が必要だけど、国や自治体の補助金制度を活用すると、金銭的な負担を減らせるよ!
国や自治体による節電プログラムや補助金を活用する
政府や自治体が提供する電力関連の支援制度を、積極的に活用しましょう。
たとえば、電力会社が実施する節電プログラムに参加して条件を満たすと、特定のポイントが付与されます。
また、省エネ性能の高い家電製品への買い替えに対して補助金が支給される制度もあります。
これらの節電プログラムや補助金を活用すると、数千円から数万円ほどの節約効果が得られるケースもあるので、ぜひチェックしてみましょう。
まずは住んでいる自治体の公式サイトを確認してみよう!申請期限や予算に限りがあるケースも多いから、早めの行動が重要だよ!
省エネ家電の活用と待機電力のカットを試みる
日々の積み重ねで大きな節約につながるのが、省エネ家電の利用と待機電力のカットです。
古い家電を最新の省エネ基準を満たした製品に買い替えるだけで、消費電力量を大幅に削減できる場合があります。
特にエアコンや冷蔵庫、照明器具などは効果が大きいです。
また、意外と見過ごされがちなのが待機電力です。
使用していないテレビやパソコン、携帯電話の充電器などもコンセントにつながっているだけで、微量の電力を消費しています。
こまめに主電源を切ったり、節電タップを活用したりして待機電力をカットするだけでも、年間で見ると数%もの節電効果が期待できます。
省エネ家電の買い替えは初期投資が必要だけど、待機電力のカットは今日からでもできるね!まずは取り組みやすい対策からはじめてみよう!
電気料金の負担軽減が期待できるおすすめ新電力

燃料調節費の負担を少しでも軽くしたいと考えるなら、電力会社選びも重要です。
ここからは、電気料金の負担軽減が期待できるおすすめ新電力を3つ紹介していきます。
- TERASELでんき
- 東京ガス
- idemitsuでんき
TERASELでんき
TERASELでんきの料金プランなどの情報はこちらです。
料金プラン | ・超TERASELプラン ・TERASELプラン ・TERASELマーケットプラン ・TERASELマーケットあんしんプラン |
特典 | ・電気料金200円につき1楽天ポイント付与 ・契約時に選べる特典 |
参考:terasel.jp 【公式】TERASEL(テラセル)でんき|伊藤忠エネクスグループ 株式会社エネクスライフサービス(2025年5月8日時点)
「TERASEL(テラセル)でんき」は、伊藤忠エネクスグループの電力会社です。
燃料調整費そのものが他社より際立って安いというわけではありませんが、毎月もらえる楽天ポイントや選べる特典が用意されており、実質的な電気料金の割引となります。
また、原則としてTERASELでんきは解約違約金はありません。
そのため、燃料価格の動向を見ながら柔軟に契約を見直したいというニーズにも応えられます。
燃料調整費の動向を注視しつつ、ポイント還元などの付加価値を重視する方にとっては、検討の価値がある新電力のひとつといえるでしょう。
TERASELでんきには「超TERASELプラン」や「TERASELマーケット」などの4つのプランが用意されているよ。ライフスタイルに合う料金プランを選択できるのは魅力だね!
東京ガス
東京ガスの基本情報はこちらです。
料金プラン | ・基本プラン ・さすてな電気 ・時間帯別プラン ・ずっとも電気3 |
特典 | ・「ガス・電気セット割」による電気料金の割引 ・1か月分の電気代基本料金無料(基本プラン・ずっとも電気3新規申込者のみ) ・電気切替キャッシュバック制度 |
参考:電気のこと|東京ガス(2025年5月8日時点)
大手都市ガス会社である「東京ガス」は、電力小売事業においても安定したサービスを提供しています。
注目すべきは、ガスと電気のセット契約による割引です。
「ガス・電気セット割」を利用することで、電気料金全体からの割引が適用され、実質的な負担を軽減できます。
また、大手企業としての信頼感や、万が一の際のサポート体制が充実している点も魅力です。
ガスと電気をセットでお得に利用したい首都圏エリアの人にとっては、魅力的にうつるね!
idemitsuでんき
idemitsuでんきの基本情報は、こちらの表を参考にしてください。
料金プラン | ・Sプラン ・オール電化プラン |
特典 | ・継続利用ポイント ・オール電化プラン ・クルマ特割など |
参考:idemitsuでんき idemitsuでんき – ガソリン代も安くなる お得な電気サービス(2025年5月8日時点)
「idemitsuでんき」の燃料調整費は大手と同水準なので、燃料が高騰しているときの価格高騰リスクをおさえられます。
また「継続利用ポイント」や「EV充電ポイント」といった独自の特典も用意されており、お得に新電力を利用できます。
料金プランは「Sプラン」と「オール電化プラン」の2種類で、シンプルな仕組みです。
燃料調整費をおさえつつ、車関連の特典を活用したい方におすすめの新電力だといえるでしょう。
さらに「クルマ特割」を活用すれば、年間最大2,400円もの給油代もしくはEV充電の電気代がお得になるよ!車を活用する人には、多くのメリットがある新電力なんだね!
まとめ

燃料調整費は、国際的な燃料価格の変動を電気料金に反映させるためのもので、消費者の電気代を大きく左右する要素です。
特に新電力では上限設定がない場合が多く、燃料価格高騰時には負担増を感じやすい傾向にあります。
しかし、燃料調整費の上限付きプランへ乗り換えたり、時間帯別単価プランで電力単価の安い時間に電力を使用したりすれば、家計を守る対策となります。
自分の生活スタイルや電力使用パターンに合った電力会社・プランを選び、賢く電気を使うことで、燃料価格の変動に振り回されない電気料金管理ができるようになるでしょう。