新電力はなぜ安い？コスト構造とメリットを徹底解説【2025年最新版】

「新電力の安さは魅力だけど、なぜ安いの？」

「新電力を選ぶメリットは何？」

新電力に切り替えると、電気料金が安くなる可能性があります。

しかし、新電力の安さに不安を覚える方も多いでしょう。

そこで本記事では、新電力がなぜ安いといわれる理由や構造、注意点などを解説します。

本記事を読むことで、新電力に対する理解が深まり、自分に合う電力会社を選べるようになります。

新電力とは？──電力自由化後に登場した“電気の選択肢”

2016年にはじまった電力小売全面自由化により、東京電力や関西電力といった従来の大手電力会社以外からも電気を購入できるようになりました。

この電力自由化によって参入した新しい電気事業者を新電力と呼びます。

新電力の登場によって価格競争が生まれ、消費者は自分のライフスタイルや価値観に合った料金プランやサービスを自由に選べるようになりました。

電気の品質や停電時の復旧対応などは、どの会社を選んでも基本的に変わらないため、安心して乗り換えを検討できます。

新電力が安い5つの理由

多くの新電力が、従来の大手電力会社よりも安い料金プランを提示できるのはなぜでしょうか。

ここでは、新電力が魅力的な価格を実現できるおもな5つの理由を解説していきます。

• 電気を“共同仕入れ”しているから
• ネット中心でムダをカットしているから
• 料金プランを時間帯に合わせて変えているから
• 再エネの“おトク制度”をうまく利用しているから
• ポイントやセット割を“会社内の別事業”でまかなえるから

電気を“共同仕入れ”しているから

多くの新電力各社は、日本卸電力取引所（JEPX）という電力市場から電気を調達することで、コストを削減しています。

特に需要が低い時間帯は電気価格が安くなる傾向があり、新電力はこの時間帯に積極的に電気を仕入れています。

また、複数の新電力会社が共同で電力を調達するケースもあり、仕入れコストの削減が可能です。

大手電力が自社発電所からの電気に依存する一方、新電力は市場の変動を見ながら柔軟に調達先を選べるという強みがあります。

ネット中心でムダをカットしているから

新電力の多くは実店舗や営業所を持たず、申し込みや顧客対応をインターネット中心におこなっています。

店舗運営にかかる人件費や賃料、維持費といった固定費を大幅に削減した分を、電気料金の値下げに還元しています。

また、紙の検針票や請求書の発行を原則としておこなわず、Web上のマイページで利用状況や請求額を確認する仕組みを採用している会社が多いです。

さらに、コールセンターをAIや自動応答システムに置き換える企業も増えており、少ない人員でも多くの顧客に対応できる体制を構築しています。

このような徹底した業務効率化とデジタル化により、大手に比べて同じ電力量でも割安な料金が実現しやすくなっているのです。

料金プランを時間帯に合わせて変えているから

一部の新電力は、電力需要が少ない深夜や昼間などの時間帯に料金を安く設定する「時間帯別プラン」を導入しています。

電力需要が少ない時間帯は電力の市場価格も安い傾向にあるため、深夜や昼間などに電気を使ってもらうことで、仕入れコストをおさえられるのです。

また、近年では30分ごとに料金単価が変わる「市場連動型プラン」も登場しています。

市場連動型プランは、電力市場の価格変動を料金に直接反映させるものです。

利用者が価格の安い時間帯に電気を使うようにすれば、電気代の節約が期待できます。

再エネの“おトク制度”をうまく利用しているから

太陽光や風力などの再生可能エネルギーには、国の補助制度やFITなどの固定価格買取制度が用意されています。

新電力の中にはこれらの制度を活用し、再エネを主軸に電気を供給することでコストをおさえているケースがあります。

ポイントやセット割を“会社内の別事業”でまかなえるから

携帯電話やガス、ネット回線などを手がける企業が電力事業に参入しているケースも多く、自社サービスと連携することでセット割やポイント還元を実現しています。

これらの特典原資は電力事業単体ではなく、ほかの収益事業でまかなっている場合も多いため、電気料金そのものを安く設定できる仕組みとなっています。

安さの裏にあるリスクと注意点

新電力の安さには魅力を感じますが、その背景にはいくつかのリスクや注意すべき点も存在します。

新電力をお得に利用するためには、こうしたデメリットもしっかり理解しておくことが重要です。

• 市場高騰時の料金急騰・契約打ち切りリスク
• 再エネ賦課金などで大手より高くなるケース
• 企業倒産時の最終保障供給に切替わる仕組み

市場高騰時の料金急騰・契約打ち切りリスク

新電力の中には「市場連動型」と呼ばれる料金プランを採用している企業があります。

市場連動型では電気の仕入れ価格が変動するため、電力市場の価格が高騰した場合、請求額も大きく跳ね上がるリスクがあります。

また、価格高騰で経営が圧迫され、電力供給を停止したり契約を打ち切ったりするケースも過去に発生しました。

契約時には、料金体系と過去の対応実績をチェックすることが大切です。

再エネ賦課金などで大手より高くなるケース

再生可能エネルギーの普及を目的として、全契約者から再生可能エネルギー発電促進賦課金（再エネ賦課金）が徴収されています。

再エネ賦課金は、どの電力会社から電気を買っても同じです。

しかし電気使用量が少ない家庭では、基本料金の差額よりもこれらの固定費のほうが大きくなり、結果的に大手電力会社よりも高くなってしまうケースがあり得ます。

企業倒産時の最終保障供給に切替わる仕組み

万が一、新電力会社が倒産・事業撤退した場合でも、電力が突然止まることはありません。

契約者は「最終保障供給」という制度により、大手電力会社が一時的に供給を引き継ぎます。

ただし、最終保障供給は料金が割高であることが一般的なので、継続利用はおすすめできません。

新電力を選ぶ前に確認すべき4チェックリスト

新電力の選び方を間違えると、結果的に損をする可能性が高まります。

契約前に確認すべき4つのポイントを把握しておきましょう。

• 単価と基本料金の総額試算
• 市場連動／定額プランの違い
• 契約期間・違約金の有無
• サポート・停電時の対応窓口の有無

単価と基本料金の総額試算

新電力の中には基本料金0円をうたう会社もありますが、その分従量料金が割高に設定されている場合もあります。

逆に、基本料金は高めで従量料金が低い場合、結果として月額料金が安く済むケースもあります。

新電力の契約前には月間使用量をもとに、複数社の料金をシミュレーションして、トータルコストで比較することが大切です。

市場連動／定額プランの違い

新電力の料金プランには、市場連動型と定額型の2種類に分けられます。

「市場連動型」は、電力市場の価格に応じて料金が上下する仕組みです。

市場価格が安定している時期には非常に安くなりますが、高騰すると電気代も高くなるリスクがあります。

一方、「定額型」は価格が一定で安心感がありますが、通常時の料金はやや高めです。

契約期間・違約金の有無

電力会社によっては、1年や2年などの契約期間が設けられており、途中解約すると違約金が発生するケースがあります。

乗り換えを検討している方や、転勤が多い方は特に注意が必要です。

違約金なしを明記している会社もあるため、事前に契約内容を確認し、自分に合った柔軟なプランを選ぶことが重要です。

サポート・停電時の対応窓口の有無

電気料金が安くても、サポート体制が不十分だとトラブル時に不安が残ります。

停電時や契約内容の変更、請求トラブルなどの際に、迅速に対応してくれるかどうかも選定の大事な要素です。

口コミや公式サイトなどで、問い合わせ窓口の対応状況や評判をチェックしておくと安心です。

料金が安いおすすめ新電力5社【2025年5月版】

電気代を少しでもおさえたい方に向けて、料金が安いおすすめ新電力5社を紹介していきます。

• ドコモでんき
• シン・エナジー
• オクトパスエナジー
• Looopでんき
• 東京ガス

ドコモでんき

ドコモでんきの基本情報はこちらです。

料金プラン	・ドコモでんき Green ・ドコモでんき Basic
違約金の有無	なし
サポート・停電時の対応窓口	電話

参考：ドコモでんき｜電気料金の支払いでdポイントを還元（2025年5月6日時点）

「ドコモでんき」は、NTTドコモが提供する新電力ブランドです。

料金プランには「ドコモでんき Green」と「ドコモでんき Basic」の2種類があり、電気使用量に応じて選べるシンプルなプランとなっています。

違約金は不要で、契約期間に縛りはありません。

また、利用額に応じてdポイントが還元されるので、ドコモユーザーに特におすすめです。

シン・エナジー

シン・エナジーの基本情報は、こちらの表を参考にしてください。

料金プラン	・【昼】生活フィットプラン ・【夜】生活フィットプラン ・きほんプラン
違約金の有無	なし
サポート・停電時の対応窓口	・電話 ・問い合わせフォーム

参考：シン・エナジー どんな生活スタイルにも“寄り添う”でんき、お得に節約するならシン・エナジー（2025年5月6日時点）

シン・エナジーは、再エネ比率の高い電力プランを低価格で提供している新電力会社です。

「【昼】生活フィットプラン」や「【夜】生活フィットプラン」といった3つの料金プランが用意されており、生活スタイルに合うプランを選択すれば、電気代の節約が期待できます。

また、契約期間や違約金も設けていないため、気軽に乗り換え可能です。

マイページでは、電気の使い方に応じてどの料金プランがお得なのかが一目で分かります。

さらに、プランの変更も簡単にできる点も魅力です。

オクトパスエナジー

オクトパスエナジーの料金プランなどの情報はこちらです。

料金プラン	・グリーンオクトパス ・ソーラーオクトパス ・スタンダードオクトパス
違約金の有無	なし
サポート・停電時の対応窓口	・電話 ・メール ・公式SNSアカウント

参考：オクトパスエナジー 【公式】オクトパスエナジー | グリーンな電気、もっと安く（2025年5月6日時点）

「オクトパスエナジー」は、環境に配慮した電力を供給している新電力です。

環境に配慮した電力を利用したいというニーズに応えています。

料金プランも複雑なオプションが少なく、明朗会計であることも魅力のひとつです。

電話やメールなど、3種類の問い合わせ方法があり、連絡しやすい方法を選べます。

さらに友達紹介割を利用すれば、紹介者と紹介された方の両方に割引が適用されます。

オクトパスエナジーを利用している方がいれば、紹介制度を利用しましょう。

Looopでんき

Looopでんきの基本情報は、下記の表を参考にしてください。

料金プラン	スマートタイムONE（電灯）
違約金の有無	なし
サポート・停電時の対応窓口	・電話 ・メール

参考：Looopでんき｜Looopでんきは電源料金が市場価格に連動して変動｜最安値0.01円/kWh（2025年5月6日時点）

「Looopでんき」は、電源料金が30分ごとに変動する仕組みです。

電気を電力市場から仕入れており、翌日までの電源料金は公式サイトやアプリから確認できます。

電源料金の安い時間帯に電気を多く使うことで、電気代を節約できます。

自分の工夫で電気代を安くできるため、積極的に電気の使い方を工夫したい方向けといえるでしょう。

また、解約違約金はかからず、契約期間の縛りもありません。

市場連動型プランの新電力をお試しで利用してみたいという方におすすめです。

東京ガス

東京ガスの基本情報はこちらです。

料金プラン	・基本プラン ・さすてな電気 ・時間帯別プラン
違約金の有無	なし
サポート・停電時の対応窓口	・電話 ・問い合わせフォーム

参考：電気のこと｜東京ガス（2025年5月6日時点）

大手都市ガス会社である東京ガスは、電力小売事業においても安定した供給と分かりやすい料金プランを提供しています。

特に、東京ガスの都市ガスと電気をセットで契約すると「ガス・電気セット割」が適用され、電気料金が割引になるのが大きなメリットです。

大手ならではの信頼感と、セット契約によるお得さを両立させたい場合に、有力な選択肢となります。

首都圏を中心としたエリアで、ガスと電気をまとめて管理したい、安心感を重視したいという方におすすめです。

まとめ

新電力の安さは、効率的な電力調達やデジタル化によるコスト削減など、さまざまな企業努力と電力自由化の恩恵によって実現されています。

しかしその安さの裏には、市場価格変動リスクや事業継続性の問題といった注意点も存在します。

新電力への乗り換えを成功させるためには、なぜ安いのかを理解したうえで、電気の使い方やライフスタイル、リスク許容度に合った会社やプランを選ぶことが重要です。

本記事で紹介した情報を参考に、メリットやデメリットを総合的に判断し、最適な新電力を見つけて電気代の節約につなげてください。