がん保険のデメリットとは?本当に必要かを判断するチェックポイント

「がん保険にはどのようなメリットとデメリットがあるの?」

「がん保険に加入すべきかどうかを判断するポイントを知りたい」

がん保険はがんに備えるための保険です。

日本人の2人に1人はがんに罹患するとされており、加入を検討している方も多いでしょう。

しかし、がん保険についてよく理解していないまま加入すると、適切な保障を受けられなくなる可能性があります。

そこで本記事では、がん保険のメリットとデメリット、加入を検討する際のチェックポイントなどを解説しました。

本記事を最後まで読めば、がん保険の基本を理解し、自分に必要かどうかが分かるようになります。

目次

がん保険の基礎知識と加入率

がん保険は多くの方が加入を検討する保険のひとつですが、その仕組みや必要性は意外と理解されていません。

本当に自分に必要かどうかを見極めるには、がん保険の基本的な知識の理解が必要です。

ここからは、がん保険の基本的な特徴と日本での加入率を解説していきます。

  • がん保険は「診断給付金」を柱にした専用保険
  • 日本での加入率は4割程度

がん保険は「診断給付金」を柱にした専用保険

がん保険に加入していると、がんと診断されたときに一時金として診断給付金を受け取れます。

診断給付金には、働けなくなることによる収入減や、さまざまな付随費用をカバーする目的があります。

一般的な医療保険では、入院日数に応じて給付金を支払うのに対し、がん保険はがんと診断された時点でまとまった金額を受け取れるのが特徴です。

また、がんの再発・転移にも対応した給付設計になっていることが多く、通院治療や先進医療などがん特有の治療状況に合わせた特約が充実しています。

診断給付金は1回限りではなく、一定期間を空けて複数回支給されるタイプもあるよ。再発や転移にも備えられるのが心強いね!

日本の加入率は4割程度

「公益財団法人 生命保険文化センター」が調査した結果によると、日本における2022年のがん保険・がん特約の加入率は39.1%です。

がん保険・がん特約の加入率の推移はこちらです。

加入率
2010年33.1%
2013年37.3%
2016年37.8%
2019年42.6%
2022年39.1%

参考:公益財団法人 生命保険文化センター 特定の病気などに備える生命保険の加入率は?(2025年5月21日時点)

一時的に減少している年はあるものの、2010年から2022年まで、加入率は上昇傾向にあります。

この数字は、多くの方ががんという病気に対して、何らかの経済的な備えを意識していることを示しています。

ある程度の加入率があるからといって、すべての人に必ず必要というわけではないよ。自分の状況や考え方に合わせて、必要性を慎重に判断することが大切だね。

がん保険のおもなメリット

がん保険は、がんと診断された際の経済的負担を軽減する重要な役割を担っています。

ここからは、がん保険のおもなメリットを2つ見ていきましょう。

  • 治療初期の一時金でまとまったお金を確保できる
  • 先進医療や長期通院への備えになる

治療初期の一時金でまとまったお金を確保できる

がんと診断された直後は、検査や入院、手術などにより高額な医療費がかかることがあります。

がん保険では診断一時金(一時金)として、まとまった金額が支払われるため、金銭的な不安を軽減できます。

この一時金は使途が限定されていません。

がんの治療費だけでなく、入院中の生活費や家族の交通費、仕事を休むことによる収入減など、さまざまな費用に充てられます。

治療初期にまとまった資金があることで、経済的な不安を軽減し、精神的なゆとりを持って治療に臨むことができるでしょう。

特に自営業やフリーランスなど、収入が不安定な人にとっては大きな支えになるね!

先進医療や長期通院への備えになる

がん治療は長期にわたることが多く、入院後も通院による抗がん剤治療や放射線治療が継続されます。

また、健康保険が適用されない先進医療を選択するケースもあり、費用は数十万から数百万円におよぶことも珍しくありません。

がん保険の通院特約や先進医療特約を付けることで、交通費や治療費の一部をカバーできます。

公的医療保険だけではカバーしきれない可能性のある高額治療や、長期化する治療への経済的な備えとなる点も、がん保険の重要なメリットといえるでしょう。

近年のがん治療では入院日数が短期化していて、通院による抗がん剤治療や放射線治療が増加する傾向があるよ。長期的な目線で費用がかかることを考えておく必要があるね。

がん保険5つのデメリット

がん保険には心強いメリットがある一方で、加入前に知っておくべきデメリットや注意点も存在します。

理解しないままがん保険に加入してしまうと、後悔してしまう可能性が高まります。

下記の5つのデメリットを把握して、自分のニーズに合った保険選びをすることが重要です。

  • 保険料がやや高めで長期契約だと総支払額が大きくなるケースがある
  • 生活費など汎用的に使える「医療保険」と重複する
  • 一時金の支給回数・待機期間など細かな制限がある
  • 不要な保障が付いて保険料が上がる
  • 給付条件が将来合わなくなる可能性がある

保険料がやや高めで長期契約だと総支払額が大きくなるケースがある

がん保険はがんに特化した手厚い保障を備えているため、一般的な医療保険と比較すると、保険料が割高となる傾向があります。

特に若いうちから終身保障タイプのがん保険に加入し、長期間にわたって保険料を支払い続けると、総支払額がかなり大きくなる可能性があります。

年々がんにかかるリスクは高まりますが、高額な保険料を払い続けている場合、老後には経済的余裕がなくなってしまうケースも想定しておくべきです。

がん保険の支払総額と、受け取れる給付金のバランスをよく考える必要があります。

がん保険は、一度加入して終わりではないよ。定期的に保障内容を見直し、本当に必要な保障に絞り込むことも、保険料負担を軽減するうえで有効だよ!

生活費など汎用的に使える「医療保険」と重複する

がん保険の保障内容の中には、入院給付金や手術給付金など、一般的な医療保険と重複するものがあります。

すでに充実した医療保険に加入している場合、がん保険に別途加入することで保障が重複し、余分な保険料を支払うことになりかねません。

医療保険に加入している場合は、保障範囲とがん保険の内容を比較し、どちらが必要かを冷静に見極めることが重要です。

まずは、加入している医療保険ががんに対して、どの程度の保障があるのかを確認してみよう。がん保険は、医療保険で不足する部分をおぎなうといった視点で検討することが、無駄な保険料の支払いを避けるポイントだよ!

一時金の支給回数・待機期間など細かな制限がある

がん保険の柱となる診断給付金ですが、支払条件には細かな制限が設けられている場合があります。

たとえば、診断給付金の支払いが初めてがんと診断されたときの1回のみというがん保険もあれば、2回目以降の診断でも、一定の条件を満たせば支払われるという複数回支払タイプの商品も存在します。

また、免責期間(待機期間)が設定されているがん保険も多いです。

通常、契約してから90日間以内にがんと診断されても、給付金は支払われません。

これは、既にがんの自覚症状がある方が、がん保険に加入することを防ぐためです。

細かな条件を見落としていると、いざというときに期待通りの保障が受けられないリスクがあるよ。必ず契約前に確認しておこうね。

不要な保障が付いて保険料が上がる

がん保険には、通院保障や先進医療保障などのオプションが豊富に用意されています。

ニーズに合わせて保障を充実させられる反面、自分にとって必要性の低い特約まで付加してしまうと、その分保険料が余計に高くなってしまいます。

たとえば、男性が女性がん特約を付加する必要性は低いでしょう。

保険を検討する際には、どのようなリスクに備えたいのかを明確にし、本当に必要な保障だけを選択するようにしましょう。

保険会社によっては、特約がセットになっているケースもあるよ。

給付条件が将来合わなくなる可能性がある

医療技術は日々進歩しており、がんの治療法も変化し続けています。

たとえば、かつては長期入院が一般的だったがん治療も、近年では入院日数が短縮化し、通院治療の割合が増えています。

そのため、加入時に最適だと思われたがん保険の保障内容が、数十年後には給付条件に合わなくなるかもしれません。

定期的に契約内容を見直し、最新の医療事情や自分のライフスタイルに合っているかを確認することが大切です。

特に、保険期間が長期にわたる場合は要注意だね。必要であれば、新しい保険商品への切り替えも検討するといいよ!

がん保険を契約する際の注意点

がん保険に加入する際は、保障内容や契約条件をよく理解したうえで、自分に合ったプランを選ぶことが重要です。

ここからは、がん保険を契約する際に、特に注意すべき3つのポイントについて解説していきます。

  • 必要最小限の診断給付金と通院特約に絞る
  • 保険期間を更新型ではなく終身型で固定し保険料上昇を防止する
  • 貯蓄や公的医療保険(高額療養費制度)との役割分担を確認する

必要最小限の診断給付金と通院特約に絞る

がん保険の保障内容は多岐にわたりますが、すべてを充実させようとすると保険料が高額になってしまいます。

そこで、まずはがん治療でもっとも重要となる診断給付金と、近年の治療トレンドである通院治療に対する保障を基本に考えるのがおすすめです。

診断給付金は治療のスタート資金として、通院特約は今後の長期治療に対応できます。

一方、過剰な入院保障や不要な特約は、実際の治療に役立たない場合もあるため注意が必要です。

シンプルな構成にすることで、保険料をおさえつつ必要な保障を確保できるんだね!

保険期間を更新型ではなく終身型で固定し保険料上昇を防止する

がん保険の保険期間には、一定期間ごとに契約を更新していく更新型と、保障が一生涯続く終身型があります。

更新型は、加入時の保険料が比較的安く設定されていることが多いです。

しかし、更新のたびにその時点の年齢や保険料率で再計算されるため、年齢が上がるほど保険料も上昇していくケースが一般的です。

特に、高齢になってからの保険料負担が大きくなる可能性があります。

一方の終身型は、加入時の保険料が更新型に比べて高めになる傾向があります。

ただ、一度契約すれば保険料は生涯変わらず、保障も一生涯続く点がメリットです。

がんの罹患リスクは年齢とともに高まるため、長期的な視点で見ると、終身型のほうが総支払額をおさえられるケースが多いです。

すべての人に終身型がおすすめというわけではないよ。更新型と終身型の特徴や保険料などを比較したうえで、自分に合う保険期間を選択しようね!

貯蓄や公的医療保険(高額療養費制度)との役割分担を確認する

がん治療にかかる費用のすべてを、がん保険だけでまかなおうと考える必要はありません。

まずは、日本の公的医療保険制度に高額療養費制度があることを理解しましょう。

高額療養費制度」とは、医療機関や薬局の窓口で支払った医療費がひと月で上限額を超えた場合、超過した金額があとから払い戻される制度のことです。

高額療養費制度を使えば、医療費の自己負担は一定額までおさえられます。

高額療養費制度を活用してもお金が不足する場合は、貯蓄を充てるのかもしくはがん保険で備えるのかを決めましょう。

貯蓄や高額療養費制度で治療費をカバーできるのであれば、がん保険の必要性は低くなるかもしれないね。

がん保険が向いている人・向かない人

がん保険の必要性は、家族構成や経済状況などによって大きく異なります。

ここからは、一般的にがん保険への加入が向いていると考えられる人と、そうでないと考えられる人の特徴をそれぞれ解説します。

自分はどちらに近いかを確認し、がん保険に加入する判断材料のひとつとして参考にしてください。

  • がん保険が向いている人の特徴:貯蓄が少ない子育て世帯、仕事を長期休むと収入減になる自営業
  • がん保険が向いていない人の特徴:十分な生活防衛資金があり、医療保険でカバーできている人

がん保険が向いている人の特徴:貯蓄が少ない子育て世帯、仕事を長期休むと収入減になる自営業

がん保険の必要性が比較的高いと考えられるのは、まず貯蓄が十分でない子育て世帯です。

特に働き盛りの親ががんに罹患し、治療のために長期的に働けなくなると、収入が大幅に減少する可能性があります。

子どもの教育費や住宅ローンなど、毎月の支出が大きい中で、高額な治療費や生活費の不足は家計に大きな打撃を与えかねません。

がん保険の診断給付金や治療給付金があれば、当面の生活費や治療費をおぎない、経済的な困難を乗り越えるための大きな助けとなります。

また、自営業者フリーランスの方も、がん保険の必要性が高いです。

会社員と異なり、病気で休業した場合の傷病手当金のような公的な所得保障制度が手薄なケースが多く、収入が途絶えてしまうリスクがあります。

がん治療が長引けば、それだけ収入のない期間も長くなります。

がん保険による経済的なサポートは、安心して治療に専念し、その後の生活再建を図るうえで重要な役割を果たすでしょう。

経済的基盤が脆弱で、がんによる収入減のリスクが大きい人には、がん保険が向いていると判断できるね!

がん保険が向いていない人の特徴:十分な生活防衛資金があり、医療保険でカバーできている人

一方、がん保険の必要性が相対的に低いと考えられるのは、十分な生活防衛資金(貯蓄)がある人です。

一時的な医療費や収入減があっても自力で対応できるため、がん保険の必要性は低くなります。

また既に加入している医療保険の保障内容で、がんに対する備えがある程度カバーできている人も、新たながん保険への加入は慎重に検討すべきです。

さらに、独身で扶養家族がいない人や、共働き世帯で一方の収入だけでも生活できる場合も、経済的リスクが比較的小さいといえます。

経済的基盤が安定していて、既存の保険や制度で十分なカバーができている人は、がん保険は不要かもしれないね。

加入・見直し前のチェックリスト

がん保険への新規加入や見直しを検討する際には、確認すべきポイントがいくつかあります。

契約前に必ずチェックしておきたい項目をリストアップしました。

チェックリストをひとつひとつ確認することで、後悔のない保険選びにつながるでしょう。

  • 診断給付金の支給条件と回数
  • 通院や先進医療・差額ベッド代の保障範囲
  • 解約返戻金の有無と更新時の保険料

診断給付金の支給条件と回数

がん保険の診断給付金は1回限りの支給ではなく、再発や新たながんに対応して複数回受け取れる商品があります。

ただし、支給には条件や期間制限が設けられていることが多く、たとえば前回の給付から2年空けないと再度給付されないケースなどもあります。

また、上皮内新生物(初期のがん)では支給額が半額になるなどの制約がある商品もあるため注意が必要です。

支給条件と回数をしっかり確認して、自分に合った保障かどうかを見極めましょう。

診断給付金の支給条件と回数を理解しないままがん保険に加入すると、いざというときに給付金が受け取れなかったり、期待していた金額より少なかったりするケースがあるよ。

通院や先進医療・差額ベッド代の保障範囲

がん治療では入院だけでなく、通院治療や先進医療、差額ベッド代などの費用が発生します。

これらの費用が、どの程度カバーされるのかを確認することが重要です。

通院給付金については、支払対象となる通院の定義や、通院1日あたりの給付金額などを確認しましょう。

特に抗がん剤治療やホルモン療法など長期にわたる通院治療が必要な場合、支払日数の上限が重要となります。

先進医療特約については、どのような治療が対象になるのか、支払限度額はいくらかを確認する必要があります。

高額な重粒子線治療などを検討している場合は、特に重要です。

差額ベッド代については、特約で対応しているか、1日あたりの上限金額や支払日数制限があるかを確認しましょう。

保障内容が不十分だと、保険に入っていても実費負担が大きくなる可能性があるから、必ずチェックしておこうね!

解約返戻金の有無と更新時の保険料

がん保険には、保険料が掛捨型で解約してもお金が戻ってこないタイプと、解約時に一部お金が戻ってくる解約返戻金がある貯蓄型のタイプがあります。

解約返戻金があるタイプは保険料が高めになるため、貯蓄性と保障性のどちらを重視するかを明確にして選ぶことが必要です。

また更新型の場合、年齢とともに保険料が上昇していき、老後に経済的負担が増すことも考えられます。

契約前には、解約時の条件や将来の保険料推移について、必ずシミュレーションしておきましょう。

短期的な保険料の安さだけでなく、長期的な視点で総支払額や将来の負担を考慮した選択が必要だよ!

まとめ

がん保険は、がんという特定の疾病に特化した保険として、診断給付金を中心にさまざまな保障を提供しています。

がん保険には治療初期のまとまった資金確保や、先進医療・通院治療への備えなど、一定のメリットがあります。

しかし保険料の高さや医療保険との重複、細かな給付条件の制限など、見落としがちなデメリットがあることも覚えておきましょう。

がん保険は万が一の備えであり、必要以上に加入することで、家計の負担になることもあります。

自分のリスクや経済状況を冷静に分析し、本当に必要な保障だけを選ぶことで、効率的な保険設計が可能になるでしょう。

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